Kit_A ( a.k.a. KITA YOSHIKI )

Roadcone with ....

 ロードコーンは、人間が係る場所に置かれます。それは、これから作られていく場所だったり、人がすごく集まる場所だったり、人の手に触れてほしくない場だったり…。人がいる場所、いた場所を証明するものの一つとも言えるでしょう。 また、本来は道路標識と同様に「注意喚起」などのために使われる物ですが、その形状の愛らしさからいろいろな使われ方をもしています。

※札幌国際芸術祭(2014.07.19〜09.28)の期間、その風景、係る人々をロードコーンと一緒に撮影、その様子を紹介するページとして作成したのがはじまりです。

↑ Roadcone with you. ロードコーンと一緒に撮りました。click!!

2019年3月11日月曜日

作品「Around that…」について

 3月といえば思い出すのは、東日本大震災であり福島原子力発電所の事故である。
 同じように8月となれば、第二次世界大戦の終戦を決定づけた広島、長崎への原爆投下を思い出す。一年の中でその月が近づくと、日本が体験した痛烈な事件を思い出しながら、人間の愚かさを考える。とくに3.11の原爆事故に至っては、8年経った今でも未だ何も解決していないのに、それを忘れたかのような日本政府の振る舞いは呆れるばかりである。「記憶」や「記録」だけが事実として残っていて、事故前となんら変わらないのではないかとさえ思う。

 最近の私の作品は、あちこちで撮ったロードコーンの写真を重ね合わせることで、光や影が、重ねる種類によっては色自体も本物とは違ったものをつくり出している。今回の展示をするにあたってモチーフに考えたのは、過去の人間の起こしてきた原水爆の爆発でできたキノコ雲の写真だ。ネット上から原水爆の実験の記録を中心に調べることでかなりの数の写真を集めることができた。それらPhotoshop上で重ね合わせることで実際にはない爆発のイメージを作りだし、自分の撮ったコーン写真を重ねてイメージをつくった。
 また、写真だけではなく、今回はビデオテープドローイングとも言うべき方法でメインとなる作品をつくった。これは、爆発のイメージを扱っているときに昔自分がつくったイメージを思い出したのが、きっかけとなった。下のモノクロのイラストがそれなのだが、はるか昔の学生時代にイベント用につくったイメージイラストのひとつで、イベント用の冊子の表紙などに使ったものである。これはイベントのテーマが「revolutionで自分たちの意識や自分たち自身を改革せよ、などという感じのイメージだった。このときはそれ以上のことは考えていなかったのだが、後からこれをみたとき原爆によって被爆した人間のイメージに見えてしまい、またこのイラスト制作と同じ年代に起きてしまったチェルノブイリの事件が一緒に思い出される。
 このイラストは、医学書の線だけで描かれた図版と、相性の良さそうな線を描いていた大友克洋の絵を元に描き直した爆発のイメージを重ねた。当時は大友克洋の漫画の爆発シーンを見て、それまでの漫画の記号のような爆発のイメージとのあまりの違いに驚いた。大友克洋のイメージは、それまでの人間の起こしてきた多くの爆発のイメージがなければ描けないもので、原水爆の爆発のイメージもその下敷きになっているはずだ。今回は医学書の心臓ではなく、Kraftwerkのレコードジャケットのロードコーンを使い、大友克洋の描く爆発のイメージと組み合わせた。

 この線描きのイメージをつくるのに使ったのがビデオテープで、黒いラインで構成されるイメージを再現するのに、また「記憶」「記録」という言葉の代名詞として利用するのに、しっくりきた。

----------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------------
Kit_A「Around That …」

会期:2019.03.01~31

会場:FAbULOUS (ファビュラス)
住所:060-0051 札幌市中央区南1条東2丁目3-1 NKCビル1F 011-271-0310
営業時間:カフェ&レストラン / Open 8:00 ~ Close 23:00 (L.O. フード22:00、ドリンク22:30)
ファッション&インテリア / Open 11:00 ~ Close 20:00

※cafe&レストランですので、ご注文をお願いいたします。


























0 件のコメント:

コメントを投稿