Kit_A ( a.k.a. KITA YOSHIKI )

Roadcone with ....

 ロードコーンは、人間が係る場所に置かれます。それは、これから作られていく場所だったり、人がすごく集まる場所だったり、人の手に触れてほしくない場だったり…。人がいる場所、いた場所を証明するものの一つとも言えるでしょう。 また、本来は道路標識と同様に「注意喚起」などのために使われる物ですが、その形状の愛らしさからいろいろな使われ方をもしています。

※札幌国際芸術祭(2014.07.19〜09.28)の期間、その風景、係る人々をロードコーンと一緒に撮影、その様子を紹介するページとして作成したのがはじまりです。

↑ Roadcone with you. ロードコーンと一緒に撮りました。click!!

2019年12月30日月曜日

Phoenix ~不死鳥~「小樽・美術家の現在シリーズ テーマ展 ~風土~」

 現在、市立小樽美術館での企画展「風土」に出品している作品について。 
 我々の次の文明の博物館をイメージした展示ケース。 
 ロードコーンを溶かす、絵を描く、フォントをデザインし展示用のグッズをつくる、小さいコーンを鋳造する…。

 現生人類の遺跡の発掘物が展示されているイメージ。
 神殿らしきものの周りから円錐形の物体を 発掘された様子を再現したイメージ。
 ケースの中には、次の文明人の言葉で今度は神殿を発掘する旨が記されている。
「マークの意味はわからないが、旧文明の「何かが」復活することを期待して…」

 現生人類が残した物を次の文明人が発見する
 頑丈にコンクリートで埋め立てられていて、何か神殿のようでもある。
 周りには、円錐の物体が守護神のように並べられている。
 神殿を発掘すれば過去の文明が不死鳥のように蘇ることを彼らは期待する。
 そこには現生人類が残した核のゴミがあり、蘇るのは…。


 以下は展覧会初日の作品について話した内容。

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 このケースの中に展示されているのは、われわれより前の時代の文明人の残したものです。
 旧文明人は、われわれより進んだ科学力を持っていたようなのですが、なんらかの理由で遥か昔に滅んでしまいました。
 これらはこの地から多少離れた場所にある神殿らしき建物群の遺跡を発掘したもので、赤い物体は白い建物の周りや入口に配置されていたようです。
白い建物は現在も発掘中で、頑丈に固められているためなかなか発掘はすすんでいませんが、その様子からは、その時代の神殿か位の高い人物のお墓か何かであろうと思われます。
周りから発掘された赤い物体には、中心から三方向に伸びる形の記号が配置されているのが特徴で、この記号の意味もわかってはいませんが、おそらくはこの建物の中に関係するものであり、神殿の象徴かおさめられているかもしれない人物の紋なのかもしれません。
 現在、わかっていることはケースの中に解説されていますので詳しくはそちらをご覧ください。
 今後、われわれはこの旧文明人の残した遺跡をさらに発掘することで彼らから様々なことを学びとれることでしょう。そして、それはこの記号の意味するその時代の宝物であるかもしれません。

 かれらが残したものが不死鳥のように蘇ることを願って発掘は続けられます。

 それでは、展示をごゆっくりご覧ください。

 Kit_Aです。
 未来の博物館の方に解説いただきました。
環境破壊やエネルギー問題などわれわれを囲む状況はきびしく、自分のこども達の世代にどんな未来を残すことができるのかなどということをよく言いますが、もっと先の時代までこの土地を残すことができるのかもだんだんと怪しくなっている気さえいたします。
「風土」は、そこにあるものではなく、自分たちがつくり残すものであるとわたしは考えます。
先人たち、というより今までの年月がつくりあげた「風土」の破壊者が自分たちでないことを祈りたいものです。

2019.10.26

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「小樽・美術家の現在シリーズ テーマ展 ~風土~」

市立小樽美術館
2019年10月26日(土)~2020年1月12日(日)
休館日 毎週月曜日(11/4のぞく)11/5、6、12/29~1/3

阿部典英、 阿地信美智、上嶋俊夫、上嶋秀俊、柿崎熙、Kit_A、佐藤正行、末永正子、高橋晟、森万喜子、三浦恭三、渡辺行夫

https://www.city.otaru.lg.jp/simin/sisetu/artmuseum/tenrankai.html









ミュージアムダンスショー 紡ぐ〜LIVE IN THE MOMENT〜 (11/17)

2019年7月4日木曜日

「紅白梅図風 〜Take me to tomorrow」

 市立小樽美術館での展覧会『鈴木吾郎と新鋭作家展〜時を紡いで〜』に出品している作品「紅白梅図風 〜Take me to tomorrow」について。

 尾形光琳の作品、「国宝 紅白梅図屏風」(18世紀前半、MOA美術館所蔵)を基につくった絵を、引き出したVHSのビデオテープでドローイングした。使用したビデオソフトは、ドキュメント「真珠湾攻撃、そして原爆」と「東京原発」(2002)という風刺喜劇映画。
 「紅白梅図屏風」の屏の一字をとることで、『~風な』というタイトルにした。英字タイトルの「Take me to tomorrow.」は、「カントリー・ロード」で有名なジョンデンバーの曲のタイトル。

 そろそろ役割を終え忘れられてしまいそうな、そろそろ寿命でもうすぐただのゴミと化す、でも自分の時代に活躍したメディア、ビデオテープ(1)で、忘れてはいけない出来事を描いた。今回描いた内容は人々にとっては忘れてはいけない事故の記憶の絵、または原発や軍隊を宝物にしたいと思っている人の国の絵。

 伝統的な日本の表現とマンガやアニメーションの表現の類似性は今さら指摘するまでもない事である。出力形式が持つ仕様から似たような表現に行き着いたのであるのが主な理由であるのだが、時代が違えど同じような表現にたどり付いたわけだから、どっちも日本らしい表現と言えるのだろう。爆発やキノコ雲の表現はマンガ家の大友克洋(2)のものを、カミナリやそれっぽいエフェクト表現はアニメーション作家の金田伊功(かなだ よしのり)の表現を借りた。平井和正の「幻魔大戦」(1983)のアニメ映画化のときのキャラクターが大友克洋でアニメーターが金田伊功。なので、別のタイトルをつけるとしたら「幻魔大戦」か。


(1)アナログメディア愛好家は多く、レコードやフィルムも大人気。ビデオやカセットの愛好家も多いらしく「VHSテープを巻き戻せ!(2014)というドキュメント映画では多くのVHSマニアが登場する。ただ、ここでも語られるがレコードやフィルムと違って、VHSなどの磁気テープ利用のメディアにはデジタル媒体に対する基データのアドバンテージはあまりないので、レコードのような発売のされ方は考えられにくい。

(2)この作品の制作中に、大友克洋が久しぶりの漫画作品発表。
しかも、38年振りの「気分はもう戦争」の続編。本家の描く、新作爆発シーンに歓喜

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鈴木吾郎と新鋭作家展
〜時を紡いで〜
2019年5月18日(土)〜7月15日(月・祝)
9:30〜17:00(入館は16:30)
休館日 月曜(7月15日除く)
市立小樽美術館
出品作家
鈴木吾郎・秋山一郎・伊勢かがり・上嶋秀俊・大原央聡・
奥井 理(故人)・Kit_A・鈴木比奈子・平埜佐絵子・藤枝由美子
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紅白梅図風 〜Take me to tomorrow」2019  2100×2600mm2枚組











2019年3月11日月曜日

作品「Around that…」について

 3月といえば思い出すのは、東日本大震災であり福島原子力発電所の事故である。
 同じように8月となれば、第二次世界大戦の終戦を決定づけた広島、長崎への原爆投下を思い出す。一年の中でその月が近づくと、日本が体験した痛烈な事件を思い出しながら、人間の愚かさを考える。とくに3.11の原爆事故に至っては、8年経った今でも未だ何も解決していないのに、それを忘れたかのような日本政府の振る舞いは呆れるばかりである。「記憶」や「記録」だけが事実として残っていて、事故前となんら変わらないのではないかとさえ思う。

 最近の私の作品は、あちこちで撮ったロードコーンの写真を重ね合わせることで、光や影が、重ねる種類によっては色自体も本物とは違ったものをつくり出している。今回の展示をするにあたってモチーフに考えたのは、過去の人間の起こしてきた原水爆の爆発でできたキノコ雲の写真だ。ネット上から原水爆の実験の記録を中心に調べることでかなりの数の写真を集めることができた。それらPhotoshop上で重ね合わせることで実際にはない爆発のイメージを作りだし、自分の撮ったコーン写真を重ねてイメージをつくった。
 また、写真だけではなく、今回はビデオテープドローイングとも言うべき方法でメインとなる作品をつくった。これは、爆発のイメージを扱っているときに昔自分がつくったイメージを思い出したのが、きっかけとなった。下のモノクロのイラストがそれなのだが、はるか昔の学生時代にイベント用につくったイメージイラストのひとつで、イベント用の冊子の表紙などに使ったものである。これはイベントのテーマが「revolutionで自分たちの意識や自分たち自身を改革せよ、などという感じのイメージだった。このときはそれ以上のことは考えていなかったのだが、後からこれをみたとき原爆によって被爆した人間のイメージに見えてしまい、またこのイラスト制作と同じ年代に起きてしまったチェルノブイリの事件が一緒に思い出される。
 このイラストは、医学書の線だけで描かれた図版と、相性の良さそうな線を描いていた大友克洋の絵を元に描き直した爆発のイメージを重ねた。当時は大友克洋の漫画の爆発シーンを見て、それまでの漫画の記号のような爆発のイメージとのあまりの違いに驚いた。大友克洋のイメージは、それまでの人間の起こしてきた多くの爆発のイメージがなければ描けないもので、原水爆の爆発のイメージもその下敷きになっているはずだ。今回は医学書の心臓ではなく、Kraftwerkのレコードジャケットのロードコーンを使い、大友克洋の描く爆発のイメージと組み合わせた。

 この線描きのイメージをつくるのに使ったのがビデオテープで、黒いラインで構成されるイメージを再現するのに、また「記憶」「記録」という言葉の代名詞として利用するのに、しっくりきた。

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Kit_A「Around That …」

会期:2019.03.01~31

会場:FAbULOUS (ファビュラス)
住所:060-0051 札幌市中央区南1条東2丁目3-1 NKCビル1F 011-271-0310
営業時間:カフェ&レストラン / Open 8:00 ~ Close 23:00 (L.O. フード22:00、ドリンク22:30)
ファッション&インテリア / Open 11:00 ~ Close 20:00

※cafe&レストランですので、ご注文をお願いいたします。


























2019年3月3日日曜日

Kit_A展「Around that ... / あれの周りに ... 」at FAbULOUS

 3月1日からの一月間、札幌のカフェ&レストラン「FAbULOUS(ファビュラス)」で展示しています。
 今までの延長の作品ですが、今までにない技法も使っております。
 ぜひ、ご高覧のほど、よろしくお願いいたします。


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Kit_A
「Around That …」

会期:2019.03.01~31

会場:FAbULOUS (ファビュラス)
住所:060-0051 札幌市中央区南1条東2丁目3-1 NKCビル1F 011-271-0310
営業時間:カフェ&レストラン / Open 8:00 ~ Close 23:00 (L.O. フード22:00、ドリンク22:30)
ファッション&インテリア / Open 11:00 ~ Close 20:00

※cafe&レストランですので、ご注文をお願いいたします。


2019年3月2日土曜日

朝日新聞「ほっかいどうアート紀行」

 2月20日の朝日新聞夕刊の「ほっかいどうアート紀行」という欄で紹介していただきました。紹介者、ならびに文章は、市立小樽美術館学芸員の星田七重さん。
 「都市のダイナミズムを表現」のタイトルで、2016年のさっぽろ駅アートボックスの展示写真と一緒に活動を文章にしていただきました。
 
 記事はデジタル朝日新聞でも読むことができます。
 http://www.asahi.com/area/hokkaido/articles/MTW20190220011560001.html